トシノサ恋 ~永久に…君に~
「…え、じゃあ…何?」

「………ただの男。」

男って……じゃあ…私は…。

「男って言っても…新井くん…」

「新井くんじゃなくて光でいい。」

「こ…う?」

「…新井くんじゃ、いつもと同じだから。」

「………そう言われても…」

どうしよう……光って…。

「俺も紗和って呼んでいい?」

「……え、紗和…?」

「今日だけ……」

そう言って私の顔をじっと見つめる彼…

新井くんのこんな顔…初めて見た。

これじゃ…

本当にデートみたいになっちゃうじゃない…。

ケンカした時はあんなに鋭い表情のクセに……

それなのに…笑顔になったり

甘えたり…

ズルいなぁ……。

でも私には、出会った時からたくさん笑顔…

見せてくれてたんだっけ…。

笑顔が悔しいくらいに可愛くて…

本当にズルいよ。

「…わかった…じゃあ、今日だけ…。」

「…マジでっ、やったぁ~!」

新井くんは、本当に嬉しそうに笑った。

……可愛い表情しちゃって…

これって母性本能なのかなぁ…。

もしかして母目線?

私…母性愛強いのかもしれない…。

そう納得して頷いた瞬間…

「…紗和…」

ドキッッッ……

「……え、何…」

今まで子供みたいに可愛い顔で笑っていた

新井くんが急に真剣な表情で

私の名前を呼んだ。

その表情はどから見ても男の人で

子供っぽさなんて全然なくて…

一瞬…

目を見張るほどの色気が漂っていて…

ゾクッ…
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