ホテル御曹司が甘くてイジワルです
感激して清瀬さんの首にぎゅっと抱き着くと、清瀬さんの手が私の背中に回った。
首筋から大きく開いた背中をゆっくりとなでられて、心臓がさわぎだす。
「清瀬、さん……?」
戸惑いながら顔をあげると、まっすぐに見つめられた。
それまでにはない親密な視線をむけられて、呼吸が苦しくなる。
ゆらゆらと揺れる水面の光を反射した清瀬さんの瞳が、ゆっくりと熱を帯びていくのがわかった。
キス、される……。
本能でそう悟る。
目をそらさなきゃ。顔をそむけなきゃ。理性ではそうわかっているのに、まるで金縛りにあったみたいに動けなくなる。
形のいい唇がゆっくりと近づいてくるのを、ただただ見つめていた。
一瞬ふれた唇が、すぐに離れる。
清瀬さんと、キスをした。
そのことが信じられなくて呆然としていると、清瀬さんが私の顎をすくいあげ私の気持ちを確認するように顔をのぞきこむ。
どんなリアクションをしていいのかわからなくて、私が小さく首を横に振ると、また唇が重なった。