ホテル御曹司が甘くてイジワルです


こんどはさっきよりも長く。角度を変えて唇を食む。

「ん……っ」

背筋が甘くしびれて思わず小さくもがくと、水面が揺れてわずかな水音が響いた。
それを聞いた清瀬さんが、のどの奥で低く笑った。

私の動揺がまるわかりで、かっと頬が熱くなる。

「は、放してください……!」

慌てて顔をそらし清瀬さんの胸を押しやると、またドボンと体が水の中に沈んだ。

「本当にさっきからなにやってるんだ」

あきれ顔の清瀬さんに水面に引き上げられ、肩を上下させながらせきこむ。

「俺から逃げようとすると溺れるぞ」
「ずるい……」

こんな逃げ場のない状況でキスをするなんて。

「真央」

私の濡れた髪を優しくかきあげながら、清瀬さんが甘い声で名前を呼んだ。

「好きだ」

自然に満ちて溢れるように、穏やかに言った。
そのささやきに、胸が震えた。

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