ホテル御曹司が甘くてイジワルです
もう、そんな目で見られたら、どうしていいのかわからなくなってしまう。
自分には恋愛は向いてないってわかっているのに。これから先も恋愛なんてしないでひとりで生きていくんだって決めていたのに。それなのに。
清瀬さんのことが好きで好きで、どうしようもない。
黙り込んだ私に、清瀬さんはあきらめたようにため息をついた。
「……わかった」
わかったって……?
戸惑う私の腰から清瀬さんが手を離す。急に自由になった体が心細くて、清瀬さんの肩を掴む手に力をこめた。
「うなずかないなら、このままプールに放り投げる」
「えぇ!?」
とんでもない言葉に、思わず目をむく。
「俺と付き合わないなら、このまま溺れても助けないって言ったら、どうする?」
「卑怯すぎる……!」
ぎょっとして顔をしかめた私に、清瀬さんが優しく笑った。
「どんな卑怯な手を使っても、真央のことをあきらめるつもりはないから、さっさと観念して俺を好きって言えよ」
「こんなの、本当にずるいです」
逃げ道をふさがれて、言い訳も論破されて、頷く以外の選択肢がない。