ホテル御曹司が甘くてイジワルです
明日はひさしぶりに一日お休みを取れるから一緒にでかけようと言われているけど、そのことを館長まで知ってるとは思わなかった。
別に清瀬さんと付き合っていることをちゃんと報告したわけではないけど、するどい館長のことだからうすうす気づいているんだろう。
照れくささをふくれっつらで隠す私を見て、小さな子供に向けるような穏やかな笑顔を浮かべる。
このままじゃ清瀬さんに『明日のデートが楽しみでそわそわしていたよ』なんていらない報告をされてしまいそうだ。
「私、ドーム内の掃除をしてきます」
そう言って事務所から逃げ出すと、「こんにちはー!」と元気な挨拶が聞こえた。
振り向くと、サッカー少年大輝くんと眼鏡をかけた圭人くんが自動ドアから入ってくるところだった。
「あ、大輝くん、圭人くん、こんにちは!」
この前の工作教室でふたりは仲良くなったらしく、時々こうやってプラネタリウムに遊びに来てくれるようになった。
「プラネタリウム見に来てくれたの?」
そう問いかけると、うんとうなずく。
「もうすぐここがつぶれちゃうって聞いたから」