ホテル御曹司が甘くてイジワルです

「どうした?」
「えっと、いや、なんでもないです……!」

清瀬さんの問いかけに、なんとか誤魔化そうと言葉を探す。

「まぁ、真央がなにを考えてるかなんて、わかってるけどな」

すると、綺麗な口元を引き上げて、横目でみつめながら意地悪な笑みを浮かべる清瀬さん。
するどい彼には私の気持ちなんてお見通しで、ますます顔が熱くなった。

「コーヒーのおかわりいかがですか?」

背後から声を掛けられ飛び上がる。
振り返れば、にっこりと笑う由美子さん。

「じゃあ、いただきます」

動揺しまくる私とは対照的にさわやかに微笑みコーヒーをもらう。その清瀬さんの様子をドキドキしながら見つめていると、由美子さんにいたずらっぽく微笑みかけられた。
悩みを聞いてもらったから、きっと私たちのことを気にかけていてくれたんだろう。

昨日よりも打ち解けた様子の私たちを見て満足そうにうなずいた。

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