ホテル御曹司が甘くてイジワルです
昨夜は通行止めになっていた道路も無事開通し、朝食を終えてからペンションを出る。
「本当にお世話になりました」
ぺこりと頭をさげると、「またいつでも遊びに来てくださいね」と由美子さんに声をかけられた。
「ありがとうございます」
清瀬さんもお礼を言って車に戻ろうとすると、ご主人の寺沢さんが玄関の方へ出てきた。
「清瀬さん」
低い声で名前を呼ばれ、清瀬さんが視線を向けると仏頂面のまま口を開く。
「昨日、もらった資料を読ませてもらった。一度、その工事中のオーベルジュを見に行ってもいいか?」
その言葉に、清瀬さんが目を見張った。