ホテル御曹司が甘くてイジワルです

「では気まぐれではなく、本気でお付き合いされているとおっしゃるんですね」

咄嗟に言い返した私を、彼女が冷めた目で見つめる。

「副社長と真剣にお付き合いをして、結婚を考えていると? 近い将来プレアデスホテルのトップに立つ彼の妻が自分に務まると?」

矢継ぎ早に詰め寄られ、何も言えず唇を引き結んだ。
ようやく素直に気持ちを伝えて恋人同士になれたばかりで、その先のことなんてまだ考えてもいなかった。

「ホテルの後継者である昴さんには、彼を支え理解できる優秀なパートナーが必要です。あなたよりももっとふさわしい女性がいます。これからのグループの発展のために必要なのはあなたじゃなくて、私です」
「え……?」

三木さんの言っている意味が分からなくて眉をひそめる。

「三木コーポレーションはご存知ですか? 国内外で不動産事業を営んでいる会社です」

CMなんかでもよく耳にする会社名。
もしかして三木さんはその三木コーポレーションのご令嬢ということ……?

戸惑いの表情を浮かべた私に、三木さんはその通りだと言うように頷く。

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