ホテル御曹司が甘くてイジワルです

指先に愛を





スイートルームのダイニングに並べられたおいしそうな朝食。
それを前に私はものすごく困惑していた。

なぜなら私が今座っているのは椅子ではなく、清瀬さんの膝の上だから。

「あの、清瀬さん下ろしてください」

おずおずとお願いしても、清瀬さんは涼しい顔で首を横に振る。

「昨夜無理をさせたおわびに今日は真央をとことん甘やかすことに決めたから、おとなしくしていろ」

膝の上で私を横抱きにして、フォークを使ってサラダを私の口元に運ぶ。

もういい大人なのに、膝の上に抱かれてご飯を食べさせられるなんて、恥ずかしすぎる。

そう思いながらも口を開いて差し出されたサラダを食べると、清瀬さんが満足そうに笑った。

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