ホテル御曹司が甘くてイジワルです
瞳を潤ませた私に、清瀬さんが優しくうなずいた。そして髪をなでていた手で私の後頭部を引き寄せ、抱きしめてくれる。
「真央……」
清瀬さんが私の名前を呼びながら瞳の奥を覗き込む。なんだろうと瞬きをすると、私の左手を持ち上げた。
「清瀬さん?」
首を傾げた目の前で、薬指に指輪を通された。キラキラと輝くダイヤが付いたエンゲージリング。
驚きで目を見開いて息をのむ。
「結婚しよう」
清瀬さんの迷いのない言葉に、感激のあまり言葉が出なくなる。
「清瀬さん……」
目元がじわりと熱くなって、涙がこぼれてしまった。
すぐ泣いてしまう自分が恥ずかしくてうつむくと、頬を大きな手で包まれる。