ホテル御曹司が甘くてイジワルです

「このままオーベルジュが順調に軌道にのれば、俺は本社に帰ることになる。本社に戻った後も、日本各地を行ったり来たりする生活が続く。海外を拠点に仕事をすることもあるかもしれない」

覚悟はしていたけど清瀬さんの口から言われると重みが違う。
まっすぐに見つめられ、私は涙をぬぐいながらうなずいた。

「真央が坂の上天球館を大切に思っているのは知ってるから、仕事を辞めてついてきてくれなんて言えない。だけど遠距離になったとしても、なかなか会えなかったとしても、真央を幸せにするためにどんなことだってする。だからこの先もずっと、真央と共に生きていきたい」

私のことを尊重してくれる清瀬さん。その言葉を聞いて改めて好きだと思ってしまった。



私も生涯清瀬さんを愛し、共に生きていきたい。

「連れて行ってください。どこにでもついていきます」

そう言うと、清瀬さんが目を見開いた。

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