ホテル御曹司が甘くてイジワルです
そんな私にお構いなしで、館長が話を進める。
「夏休みに子供たち向けのイベントをするのはどうだろう。天体観測もいいけど、もっと気軽に日中にできることで」
「あぁ、たしかに夜の天体観測は、よっぽど星に興味のある子しか来てくれませんもんね」
気を取り直して体を起こし相槌を打つ。
「手作り星座盤とか、ペーパークラフトの天球儀とか、星に関係した工作づくりでもいいかもしれないね」
「私いい工作ないかちょっと調べてみます」
「よろしく頼むよ」
「はい!」
三か月猶予をくれると清瀬さんは言ってくれた。
期限がきても買収を拒否し続けることもできるかもしれないけど、三か月の間必死に考えてあがいてもなんの経営改善の方法を見つけられないなら、どのみちこの先存続は難しい。
なんとか、このプラネタリウムの生き残るすべを探さなきゃ。
とはいえ現状はなかなか厳しい。
ここ一年間の私は利用者数を見てため息をつく。リピーターとしてやってきてくれる人はほんのわずかだ。
一部の星好きの人だけではなく、たくさんの人にまた来たいと思ってもらう施設にするためには、どうすればいいんだろう。
頭を悩ませながら窓から外を見やる。
隣の商館では改装工事がはじまっていた。