サマータイム ブルー
カウンターで、支払いを済ませていると その後ろで、高本が、ヨロッと転びそうになっていた。

「何年履いてんだよ、その靴?そろそろ、買い替えろよ」
高本の エンジニアブーツは かなり履き潰されており、
カカトが 極端に外側に 磨減っている。
その為、度々バランスを崩しては、コケそうになるのだ。

「お前さ……。 久し振りに、会ったってゆーのに、何んも変わってねーよなぁ……。」

「あぁ 心配するな……明日からは、ちゃんと左右、逆に履くから!」

「逆ぅ? ……何、言ってんだ……それなら内股の方が、よっぽど、効果的だ」


店を出ると、2人は路肩に停めて置いたステーション ワゴンに 歩み寄った。

「そう言えば高本?……夏休み、何日取って来たんだ?」

「……ん~ 一週間……」


そう言うと、高本は空色にペイントされてたワゴンに手をついた。

早朝だというのに、微かに熱をおび始めたボンネットは 夏の始まりを告げていた。


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