サマータイム ブルー
その日 高本は 旅に出る準備を整えていた。

コンパクトに収納の出来る一人用のテントを 陰干しにし、その間にガソリンストーブ、パーコレーターなど、ツーリングに必要最低限の荷物を 手際良くまとめた。


「さてと……、コイツを なんとかしなくちゃな……。」


高本は、ガレージの中央にあるオートバイ全体を見渡した。

ハーレー社製、883ccのスポーツスターである。

「ふぅ~ん……。5年間も、この格好で、乗っていたのか……。」


そう つぶやくと、高本はトラッカータイプのシングルシートを外し、2人乗りの出来るダブルシートに付け替えた。


今日から 一週間、高本の夏休みは、こうして始まったのである……。

そして この休みの半分を 昔なじみの森下と過ごそうと 考えていた。


「そろそろ時間だな……。おーしっ、出発すっかぁ!」


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