サマータイム ブルー
それは、例年より一週間も遅い 梅雨明けの日である。

森下は 海沿いの国道を オートバイで、南下していた。

まだ 時間も早いせいか、国道には車も少なく、オートバイのギアは ここ数km 4.5速をキープ出来る程であった。

久し振りのオートバイである。
森下はタンク下の 500cc単気筒の圧倒的な振動を楽しんでいた。

海沿いの駅前で、赤信号につかまった。駅前商店街なのだろうか、色とりどりのビーチボールや浮輪が、所狭しと並べられていた。森下は腰のバッグから タバコを取り出し、革の手袋をしたまま、器用に火を着けた。

その時である。

"トン‥トン‥゛

森下の左肩が、たたかれた。

それが……美沙子であった。


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