情熱的に愛してⅡ
全部、聞こえているってば。

こういう人達って、人に聞こえるか聞こえないか、絶妙な声のトーンで、話しているのよね。

ミーティング室の前で、軽くため息をつく。


そんな時、後ろからまたヒソヒソ話が。

「誰かさん、ため息ついている。」

「辛いんだったら、辞めればぁ?」

そして、クスクスと笑っている。

それには、頭に来て振り返って、睨み返した。

「おっと。」

「こっわー。」

ダメだ、この手の人達には、何をしても糠に釘だわ。


私は前を向いて、ミーティング室のドアを開けた。

話し声が一気に静まる。

新入社員の目が、一斉に私の目に注がれる。


その瞬間だった。

後ろの席の真ん中の席に、一際垢抜けた男の子が座っていた。
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