情熱的に愛してⅡ
少し目にかかった前髪から見える、切れ長の目。

黒いリクルートスーツに、青いネクタイが、より一層彼のクールさを引き立てていた。

一瞬で、目を奪われた。

呼吸をする事も、忘れていた。


「すみません。どうしたんですか?」

前の席の新入社員から、声を掛けられた。

「ごめんなさい。ぼーっとしてしまって。」

私は急いで持って来た研修資料を、新入社員に一部ずつ渡した。


「おはようございます。」

私が挨拶すると、半分眠たそうに、”おはようございます”と言う新入社員のみんな。

仕方ない。

こんなに朝早く集まるのは、何年かぶりだろう。

「研修を担当させて頂きます、企画部主任の清水千沙子と申します。宜しくお願いします。」
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