冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています

さて、了はそれどころじゃないだろうけれど、私には事件の発生からずっと引っかかっていることがある。

だれが粉飾をリークしたのか?

時期を考えても、自然発生的に漏れる情報じゃない。だれかが絡んでいる。

その答えは翌朝もたらされた。


『出ましたよ〜。メールを確認してください』


まこちゃんに恵を見てもらい、出勤の支度をしていたら、ジョージさんから電話がきた。私はメイクパフ片手に、鏡の前で会話した。


「すごい情報網ね」

『持つべきものは手段を選ばない友人です。というかね、同じ業界の人間がかかわってたんですよ。まあ利害関係になきゃこんなことしませんから、当然といえば当然ですが』


そういえばそうか。私はリビングに移動し、PCを開いてジョージさんからのメールを開いた。ひとりの男性のプロフィールが添付されていた。


「聞いたことのない事務所だわ……」

『メインはセクシー系のタレントですから、早織さんはご存じないかもしれませんね。そこの取締役のひとりが、各社に情報を持ち込んだ可能性が高いです』


ふうん、と画面を見ていたら、背後から「あれっ」と声がした。


「これ、うちのお店のお客さんだよ」

「え?」


振り返ると、恵を抱きかかえたまこちゃんがのぞき込んでいた。


「たちの悪い絡みかたをするから、出禁にしようかって店長と話してるんだけど。あーそうそう、この耳の形、間違いないよ」


電話の向こうで、ジョージさんが『なんです?』と聞いている。


「彼の一番いやがる場所で、捕まえられるかも」


私の言葉に、彼は一瞬間を置いて言った。


『そりゃあすてきだ』



< 107 / 149 >

この作品をシェア

pagetop