冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
さて、了はそれどころじゃないだろうけれど、私には事件の発生からずっと引っかかっていることがある。
だれが粉飾をリークしたのか?
時期を考えても、自然発生的に漏れる情報じゃない。だれかが絡んでいる。
その答えは翌朝もたらされた。
『出ましたよ〜。メールを確認してください』
まこちゃんに恵を見てもらい、出勤の支度をしていたら、ジョージさんから電話がきた。私はメイクパフ片手に、鏡の前で会話した。
「すごい情報網ね」
『持つべきものは手段を選ばない友人です。というかね、同じ業界の人間がかかわってたんですよ。まあ利害関係になきゃこんなことしませんから、当然といえば当然ですが』
そういえばそうか。私はリビングに移動し、PCを開いてジョージさんからのメールを開いた。ひとりの男性のプロフィールが添付されていた。
「聞いたことのない事務所だわ……」
『メインはセクシー系のタレントですから、早織さんはご存じないかもしれませんね。そこの取締役のひとりが、各社に情報を持ち込んだ可能性が高いです』
ふうん、と画面を見ていたら、背後から「あれっ」と声がした。
「これ、うちのお店のお客さんだよ」
「え?」
振り返ると、恵を抱きかかえたまこちゃんがのぞき込んでいた。
「たちの悪い絡みかたをするから、出禁にしようかって店長と話してるんだけど。あーそうそう、この耳の形、間違いないよ」
電話の向こうで、ジョージさんが『なんです?』と聞いている。
「彼の一番いやがる場所で、捕まえられるかも」
私の言葉に、彼は一瞬間を置いて言った。
『そりゃあすてきだ』