冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
変えること自体は悪いとは言わない。だけどこれはよくない。新しい編集長は、なにかを改善することよりも、真紀の色を消し、自分を出すことに力を注いでしまっている。

この編集長は長続きしないだろう。そう思うと急にSelfishが色あせて見えて、私は雑誌を閉じた。


『だから私の副編になってほしかったのよ』


敵が多いことを自覚していたのか。タイプの違う私といることで、編集部内のバランスを保っていたのだ。

真紀、私こそ、あなたのためにもっとがんばるべきだった。恵を授かったあの時点に戻ったとして、ほかにどんな道をとれたとも思わないけれど、今なら、あなたが私に感じたであろう落胆がわかる。

テーブルの上で、両手を組み合わせた。ごめんなさい、真紀。自分の人生を取り繕うのに必死で、パートナーだったあなたのことを真剣に考えなかった。

今度こそ、あなたの力になりたい。

糸をたぐるわ、真紀。


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