冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
13. 愛の結晶
「ただいまー」
まこちゃんが帰ってきた。一緒に病院に行ったあと、混んでいる薬局で薬を待っていてくれたのだ。
私はリビングにタオルケットを敷いて恵を寝かせ、そばのラグの上で本を読んでいた。
「恵、どう?」
「熱は高いまま。お腹がすいたって言うから、パンがゆを作って食べさせたところ」
「そっか、食欲もあるなら、いいね」
頬と鼻の頭を赤くしたまこちゃんが、コートを脱ぎながら恵をのぞき込む。
「解熱剤も飲んじゃおうか。楽になるから」
「私、今日は見てられるから、まこちゃん帰っても大丈夫よ」
「じゃあ、買い出しに行って、夕食の準備したら、そうさせてもらおうかな」
にこっと笑う。時給制じゃなくてよかったと思うのはこういうときだ。日数で計算しているので、仕事がなければこうして、まこちゃんの収入を減らさずに解放できる。
「はい恵、お薬だよ」
まこちゃんが粉薬をお湯で溶いて持ってきてくれた。恵はコップから上手に飲む。
「恵はシロップにしてもらわなくても飲めるんだね。こういう小さなことが、親って誇らしかったりするんだよねー」
私は恵の口の周りを拭きながら、「わかる」と同意した。布巾をゆすいでこようと腰を上げようとしたら、恵が珍しい金切り声を上げて嫌がった。
「あらら、具合が悪くて不安なんだね。私が行くよ」
「ありがと、ごめんね」
「やっぱり私、ずっといようか? それじゃさおちゃん、動けないでしょ」
まこちゃんに布巾を預け、私は考えた。たしかにいてくれたら心強い。だけど恵も、薬が効いてきたら眠るだろう。私もべつに、疲れていないし……。
「了くんの帰りはいつなの?」
「さあ……」