冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
了が首をかしげ、不安そうな表情で尋ねる。


「がんばったね、っていう言葉は、うれしい?」


了がいてくれたら、私は自信を持って、恵を愛せると思ったの。

人の目を気にして、小さくなってばかりで、戦う気力も逃げる気力もなくして。そんな自分から解放されて、自由になれると思ったの。

だれかがすぐそばで、私を一番に愛してくれたら。

私は強くなって、そのぶん思いっきり恵に愛を注げると思ったの。

涙をこぼした私を、了はなにか誤解したようだった。「えっ、ごめん」とうろたえた声をあげ、指で頬を拭う。

その温かな手を握った。


「早織……?」

「うれしい」

「え?」


涙は止まらず、了の手も濡らす。子どもみたいに目をぎゅっと瞑って泣いた。


「すごくうれしい」


了は、少しの間なにも言わなかった。やがて、腕が背中に回り、ゆっくりと私を抱き寄せた。


「がんばったね」


ぽんぽんと背中を叩き、頭をなでてくれる。

しがみついて泣いた。


「ずっと、よくがんばったね」


これが欲しかったの。やっと手に入った。

私は強くなれる。

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