冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
──一度心を開いてしまえば、あとはもう堕ちるだけだった。了の指に、唇に、執拗に追い立てられて、声をあげる。自分の身体が、今でもこんなに反応することが不思議だった。それどころか……。


「──あ!」


ひと際大きな叫び声に、自分でびっくりした。了も驚いたようで、一瞬目を見開き、すぐになにかを心得たような顔つきになり、また私を責める。

私は何度か立て続けに悲鳴を上げさせられ、最後にはたまらなくなり、シーツを握りしめた。


「ふうん……」


了はなにか発見でもしたように、しげしげと私の顔を見つめ、濡れた指をなめている。あまりそういう露骨な仕草をする人じゃないと思っていただけに、愕然として、心臓が鳴った。だけど息が上がっていて文句も出なかった。


「なに……」


尋ねようとした声は、途中で飲み込むはめになった。了が私の脚を持ち上げ、身体を重ねてきたからだ。

私を不安が襲った。変化していないわけがない。だけどすぐにそれどころじゃなくなった。ふいに強烈な感覚が全身を走り、私は了にしがみついた。


「おっ?」

「了、なに? なにしてる?」

「べつに、普通だよ、前と変わらないよ」


了は片手をシーツにつき、もう片方の手で私を抱き寄せるようにして揺さぶった。悲鳴を飲み込んだ。そして了のこの体勢の意味を理解した。私が逃げようとするのをわかっていたのだ。


「了……了!」

「大丈夫だよ、そのまま感じてて」


声は優しいくせに、身体は容赦ない。全身から汗が噴き出して、視界がぐらりと揺れた。

どうしてだろう、前はこんなじゃなかった。


「わ、私、どこか違う?」

「んー……、うん」


なにかを確認しているような了の様子は、私を怯えさせる。了はすぐにそのことに気づき、「いい変化だよ、少なくとも俺にとっては」とにっこりした。
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