冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
了が、はっと手を差し伸べかけて、途中でやめた。答えを聞くまでは、慰めることも涙を拭うこともしないと決めているんだろう。
宙に浮いた手が、優しさと決意の間で迷い、揺れている。
私はうなずいた。もっとはっきりした言葉を求めている、射るような了の眼差し。
「そう。私たちの子」
了が勢いよく私を抱きしめた。
「一緒に暮らそう、早織」
「それが最善の策だっていう保証なんてない」
「雑誌の仕事は?」
温かい手が、頭のうしろをなでる。いろいろな思いがこみ上げて、喉が詰まった。
「辞めた」
「それはわかってるよ。どうして辞めたの。あんなに好きだったのに」
「好きだったからこそ、辞めたの」
もう無理だと思ったの。子どもがいたら、どうやったって百パーセントの力で仕事には打ち込めない。それが心底ストレスだった。
『──妊娠した?』
安定期と呼ばれる時期にさしかかった頃、私はようやく真紀に打ち明けた。幸い大きな体調の変化もなく、仕事もそれまでどおりできていた。
真紀はもとからあまり物事に大げさに驚くほうじゃない。このときも同じで、彼女が私の告白をどう受け止めたのかはよくわからなかった。
『そうなの。私自身、今後の身の振りかたを考え続けてるところなんだけど』
『その様子だと、結婚はしないのね?』
『うん』
宙に浮いた手が、優しさと決意の間で迷い、揺れている。
私はうなずいた。もっとはっきりした言葉を求めている、射るような了の眼差し。
「そう。私たちの子」
了が勢いよく私を抱きしめた。
「一緒に暮らそう、早織」
「それが最善の策だっていう保証なんてない」
「雑誌の仕事は?」
温かい手が、頭のうしろをなでる。いろいろな思いがこみ上げて、喉が詰まった。
「辞めた」
「それはわかってるよ。どうして辞めたの。あんなに好きだったのに」
「好きだったからこそ、辞めたの」
もう無理だと思ったの。子どもがいたら、どうやったって百パーセントの力で仕事には打ち込めない。それが心底ストレスだった。
『──妊娠した?』
安定期と呼ばれる時期にさしかかった頃、私はようやく真紀に打ち明けた。幸い大きな体調の変化もなく、仕事もそれまでどおりできていた。
真紀はもとからあまり物事に大げさに驚くほうじゃない。このときも同じで、彼女が私の告白をどう受け止めたのかはよくわからなかった。
『そうなの。私自身、今後の身の振りかたを考え続けてるところなんだけど』
『その様子だと、結婚はしないのね?』
『うん』