争いの跡に
カクヨム


前のエピソード――第2話
第3話


 森の中を移動していると、チェイスが首を傾げて彼女の方を見つめる。

「わりぃ・・・いい感じだった?」

「何を言うか。なにもないに決まっているだろ」

 素直じゃないオリビアにふーん。と、相槌を打つ。

「で?何の用だ?」

「招集だよ」

「招集?」

「軍のお偉いさんが集まる」

「え?じゃあ、先生も来ないといけないんじゃないのか?」

「あーあ?あの人後から、来るんじゃね?」

「本当に貴様は、適当なやつだな」

 そんなやり取りをしている間に、軍の本部である『センターポール』に着く。ここは、クラウディアの中央本部の城。まるで、どこかの夢の国のような城が立っている。その中で、これから始まるのは軍の会議だ。

 広い広い廊下を歩いていると、会議に出席するであろうシェリルを背後から見つけた。

「あ、シェリル」

 オリビアに呼び止められてふと振り返るシェリル、すると嬉しそうにこちらに駆け寄ってきた。

「オリビア!チェイスくん!!良かった、知ってる人いてくれて・・・」

「アレ?やっぱり、先生来てない?」

「うん・・・さっきから探してるんだけど・・・」

 知らない?と、尋ねられ同時に顔を逸らすオリビアチェイス。

「あーっ!!その分だと知ってるわね!!どこにいるの?!」

「多分、バラ園かな?さっきまで一緒だったし」

「だったら、連れて来てよぉ・・・」

 頭を抱えるシェリルに、ごめんごめん。と頭を下げるチェイスだった。

 オリビアは、チェイスを置いて後付さりながらその場を去ろうとした時に、ドンっとある人物とぶつかる。それは、オリビアとシェリルに学生時代に付き纏っていた女性のマーガレットだ。

「げ・・・マーガレット・・・」

「オリビアっ!!!」

 キラキラと目を輝かせて、オリビアを抱きしめるマーガレット。

 金髪のショートにオリビアに負けず劣らずの巨乳。彼女は、神の国の住人で、『アリソン』とは違う軍に仕えていた。

「もう!オリビアったら、全然姿現してくれないんだもん!!てっきり避けられてるのかと思ったわよ!!」

「私は、珍獣かっ!てか、ぐるじい・・・・」

「わーーーっ!!マーガレットさんっ!!オリビア死んじゃうから!!」

 チェイスの背後に隠れていた為、シェリルの姿に気が付かなかったマーガレット。彼女を見つけた次の瞬間、シェリルの体とオリビアの体を強く抱きしめていた。また、被害者が増えていく。

「リルちゃんじゃない!!うっひょい!!最高な組み合わせ!!もう、よだれでそう」

 最高級に興奮状態のマーガレットの口からは、ヨダレがガッツリと垂れていた。

「マ、マーガレットさん・・・・苦しいぃぃぃぃ」

「完璧に殺しに掛かってるわよね!??殺そうとしてるわよね!?」

 『チェイス・・・貴様助けんかっ!!』と、必死で隣にいる彼にアピールをするがそれも叶わず彼は目を逸らす。

 マーガレットは、どちらかと言うと細身の美しい女性だ。しかし、可愛い女性を見るとあり得ないほどの強い力を出す。オリビア達の意識が飛びそうになったその時だった。
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