Monkey-puzzle
事前にしたリサーチに寄れば、東栄デパートの輸入家具の店は、そのクオリティの高さに定評があるものの、他の売り場に比べて客足が伸びていない。逆にコスメコーナーは土日に限らず、人が多く賑わいを見せている。
もし、今日のワークショップで机と椅子を一部お借り出来れば、実際にお洒落に敏感なお客様に家具の使い心地やデザインを体感して貰える。
輸入家具のお店側にもメリットがあるし、こちらもより落ち着いた雰囲気を演出出来る。
後は…橘さんが到着して了承を貰って…
「こんにちは。今日はよろしくお願いします。」
「智ちゃん良い所に!」
「橘さん、お待ちしておりました!」
私と渋谷の大げさな歓迎に橘さんが苦笑い。
「何か嫌な予感びしばしなんだけど。まず、何故ここに木元さん?」
そこから始まった橘さんも加わっての作戦会議。
それを終えると急いで輸入家具のお店へと足を運んだ。
「…イメージ的にはどのソファでも大丈夫じゃないかな、品が良いし。後は、デパート側が許可してくれれば問題ないと思う。」
橘さんのお墨付きを頂いて、急遽、対応に当たってくれた家具部門のチーフの三沢さんがにこやかに笑う。
「事情はわかりました。こちらとしても協力させて頂きます。しかし、まずは総務部を通していただかない事には…。」
「今から総務に申請してみます。」
真面目な顔で答えた田所さんに、その笑顔が少し好戦的に変わる、三沢さん。
「総務の“ガチガチメガネ”に何か言われたら私も後押しするから連絡して?」
田所さんもそれに「ありがとうございます」と笑顔を返してる。
関係が円滑でなければ成り立たないやり取り。
やっぱり田所さんは、こうしてちゃんと人間関係を円滑に、大切にして、しっかり仕事をしている人なんだよ、本来は。
三沢さんとにこやかに話しをしていた田所さんが、不意にスマホを持った。
「どうしました?」
隣にいた橘さんが話しかけると、「すみません、相澤からです」と軽く会釈をして、皆から背を向ける。
その姿を全員が見守った。
ここで満場一致だとしても、田所さんの上司である相澤課長が賛成しない限り、この案は使えない。
「はい…はい。すぐに行きます。」と息を吐きながら田所さんがスマホを切った。振り返る田所さんは笑顔こそ消えていたけれど、冷静なまま。
「相澤が戻ったそうです。総務に向かうから合流しろと。」
これは…悪くない感触だったってことかも。
ただ、首を縦に振ったと言う訳ではなさそうだから。
「私達も同行してもよろしいですか?」
「…はい。お願いします。」
真面目な顔で頷く田所さんに、私も少しだけ笑みを浮かべて返した。
…大丈夫。田所さんが冷静に立ち回れるなら、きっと上手くいく。
「田所さん、オッケーが出たらすぐに動かせる様に、こっちも準備しておくから!」
「ありがとうございます、三沢チーフ」
「いいのよ!その代わり、今度、あのワインバーで輸入家具の話、朝まで聞いてもらうわよー。」
おどけて軽くウィンクする三沢さんに田所さんの緊張が少しだけほぐれ、笑みが浮かんだ。
…田所さんにはたくさんの味方がいる。
今までの彼女の働きぶりが信頼されていて、人柄的に好かれている証拠だ。
「では、三沢さん、一緒にどれを運べるか選んでいただけますか?」
明るくなった雰囲気を崩さない様に、橘さんが三沢さんを家具の方へと促した。
「は、はい!」と緊張気味に返事をしながらも、橘さんに話しかけられ、三沢さんはどこか嬉しそう。
…ここは大丈夫そうだね。
手順を仕切れる人が一人居れば。
もし、今日のワークショップで机と椅子を一部お借り出来れば、実際にお洒落に敏感なお客様に家具の使い心地やデザインを体感して貰える。
輸入家具のお店側にもメリットがあるし、こちらもより落ち着いた雰囲気を演出出来る。
後は…橘さんが到着して了承を貰って…
「こんにちは。今日はよろしくお願いします。」
「智ちゃん良い所に!」
「橘さん、お待ちしておりました!」
私と渋谷の大げさな歓迎に橘さんが苦笑い。
「何か嫌な予感びしばしなんだけど。まず、何故ここに木元さん?」
そこから始まった橘さんも加わっての作戦会議。
それを終えると急いで輸入家具のお店へと足を運んだ。
「…イメージ的にはどのソファでも大丈夫じゃないかな、品が良いし。後は、デパート側が許可してくれれば問題ないと思う。」
橘さんのお墨付きを頂いて、急遽、対応に当たってくれた家具部門のチーフの三沢さんがにこやかに笑う。
「事情はわかりました。こちらとしても協力させて頂きます。しかし、まずは総務部を通していただかない事には…。」
「今から総務に申請してみます。」
真面目な顔で答えた田所さんに、その笑顔が少し好戦的に変わる、三沢さん。
「総務の“ガチガチメガネ”に何か言われたら私も後押しするから連絡して?」
田所さんもそれに「ありがとうございます」と笑顔を返してる。
関係が円滑でなければ成り立たないやり取り。
やっぱり田所さんは、こうしてちゃんと人間関係を円滑に、大切にして、しっかり仕事をしている人なんだよ、本来は。
三沢さんとにこやかに話しをしていた田所さんが、不意にスマホを持った。
「どうしました?」
隣にいた橘さんが話しかけると、「すみません、相澤からです」と軽く会釈をして、皆から背を向ける。
その姿を全員が見守った。
ここで満場一致だとしても、田所さんの上司である相澤課長が賛成しない限り、この案は使えない。
「はい…はい。すぐに行きます。」と息を吐きながら田所さんがスマホを切った。振り返る田所さんは笑顔こそ消えていたけれど、冷静なまま。
「相澤が戻ったそうです。総務に向かうから合流しろと。」
これは…悪くない感触だったってことかも。
ただ、首を縦に振ったと言う訳ではなさそうだから。
「私達も同行してもよろしいですか?」
「…はい。お願いします。」
真面目な顔で頷く田所さんに、私も少しだけ笑みを浮かべて返した。
…大丈夫。田所さんが冷静に立ち回れるなら、きっと上手くいく。
「田所さん、オッケーが出たらすぐに動かせる様に、こっちも準備しておくから!」
「ありがとうございます、三沢チーフ」
「いいのよ!その代わり、今度、あのワインバーで輸入家具の話、朝まで聞いてもらうわよー。」
おどけて軽くウィンクする三沢さんに田所さんの緊張が少しだけほぐれ、笑みが浮かんだ。
…田所さんにはたくさんの味方がいる。
今までの彼女の働きぶりが信頼されていて、人柄的に好かれている証拠だ。
「では、三沢さん、一緒にどれを運べるか選んでいただけますか?」
明るくなった雰囲気を崩さない様に、橘さんが三沢さんを家具の方へと促した。
「は、はい!」と緊張気味に返事をしながらも、橘さんに話しかけられ、三沢さんはどこか嬉しそう。
…ここは大丈夫そうだね。
手順を仕切れる人が一人居れば。