その花が永遠に咲き続けますように
「泣くなって、咲」

そう言って笑いながら、永君が私の髪の毛を掻き撫でる。

その手が温かくて、ますます涙が止まらない。



「……わっ、私、永君が声掛けてくれて、最初はめんどくさいって思ってたし、関わらないでって思ってたけど……っ」

「うん」

「本当は嬉しかった……っ」


涙でぐしゃぐしゃの顔を見られたくなくて、自分の足元を見つめる。ボタボタと自分の涙が地面に落ちていく。


だけど、続く言葉は俯いていてはいけないと思い、ゆっくりと顔を上げる。

そこには優しく微笑む彼の顔。


大丈夫、言える。

彼が自分のことを話してくれたから、私も言わなきゃ。


自分のことをわかってほしいから、伝えたい。



「……私、中学生の時にいじめ、られてて……っ」


永君は一瞬だけ驚いた顔をしてみせたけれど、すぐに優しい笑顔に戻り「うん」とだけ答えた。


その表情に、声色に、安心して言葉を続けられる。



「永君がいなかったら、私は今も一人だった…-っ。こうやって楽しく歌を歌うこともなかった。あの日声を掛けてくれて、本当に、本当に……ありがとうっ」


泣き過ぎて声、裏返ってしまったけれどちゃんと伝わっただろうか。


彼が、今度は優しく私の頭を撫でる。親が子供をあやすみたいに、ポンポンと優しく。



「どういたしまして。お互い、ようやく言えたね」


そう言ってくれたから、伝わったんだなって安心出来た。安心したらまた涙が出てきた。
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