その花が永遠に咲き続けますように
「うん。と言ってもまだまだ下手くそだけど……」

ステージに立って演奏するレベルって考えるとまだまだだと思う。
しかも私達が目指しているのは、永君の思い出に残るような最高のステージだから……。


だけどもう少し慣れてきたら、自分で曲を作ってみたいなとも思っている……。もちろん、そんなことが自分に出来るかどうかはわからないけれど、憧れは日々増す。



「そう言えばさー、永って好きなバンドとかあるの?」

個人練習の最中、ドラムスローンに腰掛けて右手でスティックをくるくる回しながら、武入君が永君に質問する。

明るくてちょっとチャラい印象のある武入君と、飄々としているけれどどちらかと言うと真面目で口数も決して多くはない永君。一見、相性は特別良くはなさそうな二人だけれど、実際はそんなことなく、出会ってすぐに仲良くなっていた。


「好きなバンド? そうだなあ……」

考えながら、永君も近くの椅子に座り、ギターを鳴らす手を止める。そして。


「色々あるけど、最近はrowdyかな。咲に教えてもらった」

え? と、私も思わず練習の手が止まり、永君を見つめてしまう。


すると彼も私を見て、そしてニコッと微笑み、


「凄いカッコいいよな」


と言ってくれた。
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