その花が永遠に咲き続けますように
「素敵です。ライブ楽しみにしていますので頑張ってください」


年内のライブなら、きっと永君も一緒に観に行ける。
そうしたら、seedsの皆で観に行こう。



あまり長居しても邪魔になると思ったので、私と永君と藤先生はこれで退散しようという話になった。


……のだけれど。



「気に入らねぇな」



突然聞こえたその声に、思考も身体の動きもぴたりと停止する。


声のした方に視線を向けると、そこにいたのはレイだった。


え、でも今の日本語だったし気のせい?



だけど、私と目が合ったレイはフッと不敵に笑った後、形の良いその唇を動かし、


「俺らの貴重な打ち合わせ時間を削っておきながら、頑張ってくださいなんてありきたりな言葉を言うだけで終わりか?」


と言うのだった。



「レイ! ファンの子になんてこと言うの! 謝りなさい!」

「あっ、キリシマさん、大丈夫です私は……。そ、それより何で日本語……」


私の疑問にはレイ自ら答えてくれるけれど、


「話せたら問題でもあるのか?」

と質問を質問で返されてしまう。


「も、問題はないですけど、日本語が話せるなんて聞いたことなかったので……」

「わざわざ公表するようなことでもなかっただけだ」


……さっき他のメンバー達と握手した時も相当緊張したけれど、一番の憧れの存在であるレイと話すことで、先程以上の緊張感が私を襲う。
ただ、鋭い青い瞳と、刺々しい彼の言葉に、別の意味での緊張も感じる。
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