その花が永遠に咲き続けますように
「レイも、あなたも! あなた達が勝手に決められるようなことではないの! そういう話はまず、プロデューサーの私を通してくれる⁉︎」

「こいつらに前座やらせたい。いいか?」

「ダメです。はい、この話は終わり!」


あなたも早く帰りなさい、とキリシマさんにぴしゃりと言われてしまう。

だけど、ここであっさりと引けるくらいなら最初から戻ってきたりしていない。


「お願いします! どうしてもやりたいんです!」

「いや、だからねぇ……」

「じゃあ、テストするのはどうだ?」

私とキリシマさんの会話を遮るような形でレイが口を挟む。


「一ヶ月やる。一曲、オリジナル曲を作ってこい。勿論、作詞もな。それを一ヶ月後に俺が聴いて、合格点ならその曲で前座をやらせる。素人丸出しの中途半端な曲だったら絶対にステージには立たせない。どうだ?」

レイがそう言うと、キリシマさんは深い溜め息を吐きながら、髪の毛をぐしゃぐしゃに掻きむしる。そして。


「もう何を言っても無駄ね……もう好きにしたらいいじゃない……」


と認めてくれた。いや、認めた訳ではないだろうけれど。


「まあ、レイが納得する曲をあなた達が作れるとは、申し訳ないけど思わないしね。この人、プロの作曲家の曲だって滅多に気に入らないんだから」


キリシマさんが案外あっさり認めてくれたのは、そういう理由があるのかもしれない。


だけど私はやってみたい。作曲も作詞もしたことないから不安だし自信もないけれど、もし合格出来れば、永君に最高の思い出をプレゼント出来る!


「頑張ります! 絶対に合格してみせます!」


その言葉と気持ちに、迷いなんてなかった。
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