その花が永遠に咲き続けますように
「……咲の顔色が悪かったから心配してただけだよ? ていうかあんた誰?」

「は? 咲の友達だけど」


友、達。それに今、名前で呼んでくれた……?




「手首痛いんですけど。離してくれない?」

「咲に触らないなら離すけど?」

「は? 何様なのアンタ」


私はハッと我に返り、白山さんに言う。

「白山さん! 私は大丈夫だから! 手、手離して!」

「でも……」

「大丈夫だから!」

これ以上、日奈の機嫌を損ねるとマズいことになる! 白山さんを巻き込みたくない!


白山さんが手を離すと、日奈は不敵に笑いながら私達をじろじろと見つめる。



「……超ムカついたけど、未だに私にビビってる可愛い咲に免じて許してあげる」


白山さんにそう言うと、日奈は隣の女の子に声を掛け、一緒に私達に背を向ける。

だけど、数歩進んだところでもう一度こちらに振り返り、


「咲。〝アレ〟、覚えてるよね?」


それだけ言うと、私の返事は待たずに今度こそ背を向けて歩き去っていった。



日奈の姿が遠くになっていっても、私の足はしばらく震えが止まらず、身体も硬直していた。


「大丈夫?」

私を心配して白山さんが声を掛けてくれる。


「ごめん。私なんか余計なことした?」

「ち、違う。嬉しかった。だけど、あの子を怒らせるとほんとにヤバいから……」

白山さんまで私と同じ目に遭ってほしくない。日奈はヤバいことも平気でしてくるから。


「ねぇ……〝アレ〟って何?」

白山さんからの質問に、心臓が、壊れてしまうんじゃないかと思うくらいに激しく動いた。
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