その花が永遠に咲き続けますように
武入君のその言葉に、胸が震える。

その通りだ。私達は、五人でseeds。たとえステージに上がらなくても、五人皆で思い出を作ることは出来る。



「……まあ、とはいえ今のは俺の個人的な意見だし、本人に直接聞いてみるのが一番だけどな」

「うん……。じゃあ早速だけど今日の放課後、皆で病院に行こう? そこで永君と話そう」

私はそう提案するけれど、三人は何故かお互いに意味深そうな目配せをした後、一斉に私を見る。気のせいか皆ちょっとニヤッとしている。


そして。


「いや、その報告は咲がしてこい」


武入君にそう言われ、思わず「はっ?」と間抜けな声を出してしまう。



「何で? 皆で行こうよ」

そう言うけれど、今度は荻原さんが口を開く。


「咲ちゃんは気付いてなかったかもしれないけど、永君はいつも、咲ちゃんが楽しそうに笑ってるのを見て、彼も嬉しそうにしてたんだよ」

「え?」

「でもそれは、咲ちゃんもそうじゃない?」


言葉の意味を理解するのに数秒掛かってしまったけれど、自分でも最近気付いたばかりの私の気持ちを、目の前にいるこの三人にはとっくに見透かされていたことに気付き、急激に顔が熱くなる。


「ははっ。耳まで真っ赤だぜ。お前、意外にわかりやすいよな」

そんなことを言う武入君の頭に、瑠夏が軽くチョップしながら「あんまりからかうんじゃないわよ」と言ってくれるけれど、彼女もまた、私のことを正面から真っ直ぐに見据えると、


「ここ数日ずっと元気がなかったみたいだけど、曲に関しては何だか迷いが晴れたような顔をしてるように見えるよ。その勢いで、永君に会って話したいことがあるんじゃない?」


と言った。


会って話したいことだなんて、それじゃあまるで私が永君に告白しに行くみたいだ。


だけど、そんなことないとはっきりと否定出来ない自分もいた。


私は永君のことが大好きだから。
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