その花が永遠に咲き続けますように
放課後、私は一人病院にやって来て、永君のお見舞いに来ていた。
昨日と同じ個室のベッドに横たわる彼。だけど昨日より顔色は良さそうだった。


早速、rowdyの前座の件を話すと、彼はふわっと笑いながら「すっげぇ」と答えてくれた。


でも、本当にステージに立つかどうかはまだ迷っていることも告げる。変に言葉を濁しても仕方がないから、永君の意見を聞きたいと直接伝えた。


すると彼は「皆のことだから俺のことも色々考えてくれたんだよな。ありがとう」と前置きしてから、彼の気持ちを話してくれる。


「俺は、皆にはステージに立ってほしい。だって、俺もseedsの一員だから。皆がステージに立ってくれたら、それは俺もそこに立ったっていうことだと思えるから」


……本当だ。武入君の言う通りだ。


そうだよね。私達がステージに立つことが、きっと永君にとっての〝最高の思い出〟にも繋がる。


「うん。皆も、ステージに立つことについては前向きに考えてた。練習、頑張るね」

私がそう伝えると、彼は「うん」と答えて優しく笑う。

彼の気持ちが聞けてとても安心したけれど、もう一つ確認したいことがある。


「永君は……ステージに上がるのはやっぱり無理?」


聞いていいことなのかわからなかったけれど、可能なら、彼も一緒にステージに立ちたい。その方が素敵な思い出になるはずだ。


だけど返事は……



「……ごめん。それはやっぱ、無理かな」



というものだった。彼は困ったように、だけど私を心配してくれてだろうか、いつもの優しい笑顔を向けながらそう話した。
< 146 / 183 >

この作品をシェア

pagetop