その花が永遠に咲き続けますように
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その後、rowdyというアメリカンロックバンドは、日本でもたちまち有名になった。

キリシマさんによる、大胆で且つ印象的なプロモーションは、男女問わず学生から大人まで、様々なファン層をあっという間に獲得した。



そんなrowdyの武道館での日本初ライブは、十二月二日に行われる。

そしてーーギターボーカルであるレイが推す無名の日本人高校生バンドというていで、私達seedsの出演も正式に発表された。


これについては世間では様々なリアクションがあり、そのうちの大半は〝気になる〟〝見てみたい〟という前向きなものであるとキリシマさんが言っていた。


ただ、自分の耳に直接入ってくる身近なところからの噂は、必ずしもそういう好意的な意見ばかりではなく。



「ねえねえ知ってる? rowdyの前座やるっていう高校生バンドって、うちの高校の一年生達なんでしょ⁉︎」

「聞いたー! 超有名なバンドならともかく、バンド始めたばかりの素人達って聞いたよ? そんなんでrowdyの絡めるとか、なんかズルいよねー。私だってrowdyに会いたーい」

「どうせメンバーの誰かにコネがあったとかだよねー。あっ、あの子メンバーの子だよ。ほら、あそこ歩いてる女の子」


……と、そんな噂話が聞こえてくるのも、ここ最近は毎日のことで若干慣れてきた。


勿論、わざわざ足を止めて言い返したりはしない。そんな度胸は私にはないし、〝ズルい〟とか〝素人のくせに〟とか、言われていることはもっともで、そういう意見を言っている人達の気持ちもわかるからだ。
それに、コネがあるという部分についても否定は出来ない。今回の件は、担任であり顧問でもある藤先生がキリシマさんと姉弟でなかったら実現しなかったことだから。


なので私は今日も、噂話は聞こえてないフリをして、いつも通りやり過ごしていた。
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