その花が永遠に咲き続けますように
12/1
十二月一日。今日の十七時から、rowdyによる武道館での日本初ライブが行われる。
rowdyの音楽性のレベルの高さは勿論のこと、敏腕プロデューサーの手腕もあり、日本でその名を浸透し始めたばかりのはずの彼等のライブは、チケットの予約開始からほんの一日で完売となったと聞いた。
そんな大物バンドの前座をやるなんて、やっぱり夢のような話だ。
ライブ当日が近付く度に、日に日に実感がわくと思っていたけれど、そんなことはないどころかその逆だ。ライブ当日である今日が一番、夢のような感覚に陥っている。
「あ〜、ヤバいヤバい、緊張する」
先程からしきりにそう言って楽屋の中をぐるぐると歩き回っているのは武入君だ。
一時間前に最終リハーサルも終え、私達は今、用意された楽屋でスタンバイしている。
「あ〜、マジ、今まで生きてきた中で一番の緊張!」
「うるさいわね! 皆そのくらい緊張してるわよ!」
そう一喝しながらも、さっきから瑠夏もずっと両手を擦り合わせて緊張を紛らせている様子だ。
ちらっと隣の椅子に座る恵那子を見れば、硬い顔をして、やっぱり緊張している。
私の視線に気付いた恵那子が、私を見て、そして少し不思議そうな顔をする。
「咲ちゃんは緊張してないの?」
恵那子のその言葉に、武入君と瑠夏も私に振り向く。
確かにやけに落ち着いてんな、と武入君にも言われる。
夢心地で現実味がないから、という理由もなくはないけれど、多分それだけではない。
「ここまで来たら、あとはもう楽しむしかないかなって。開き直ってる訳ではなくて、本当に楽しみなんです」
私がそう言うと、三人は一瞬だけ驚いた顔をして、すぐに笑った。
「咲らしいね」
瑠夏のその言葉に、恵那子と武入君も頷く。
私らしさとは? と、首を傾げようかと思ったけれど、きっと深い意味はない。単純に、歌を歌うのが好き、ステージに立つことが好き、そう思えるのが私らしさとはいうことだろう。
rowdyの音楽性のレベルの高さは勿論のこと、敏腕プロデューサーの手腕もあり、日本でその名を浸透し始めたばかりのはずの彼等のライブは、チケットの予約開始からほんの一日で完売となったと聞いた。
そんな大物バンドの前座をやるなんて、やっぱり夢のような話だ。
ライブ当日が近付く度に、日に日に実感がわくと思っていたけれど、そんなことはないどころかその逆だ。ライブ当日である今日が一番、夢のような感覚に陥っている。
「あ〜、ヤバいヤバい、緊張する」
先程からしきりにそう言って楽屋の中をぐるぐると歩き回っているのは武入君だ。
一時間前に最終リハーサルも終え、私達は今、用意された楽屋でスタンバイしている。
「あ〜、マジ、今まで生きてきた中で一番の緊張!」
「うるさいわね! 皆そのくらい緊張してるわよ!」
そう一喝しながらも、さっきから瑠夏もずっと両手を擦り合わせて緊張を紛らせている様子だ。
ちらっと隣の椅子に座る恵那子を見れば、硬い顔をして、やっぱり緊張している。
私の視線に気付いた恵那子が、私を見て、そして少し不思議そうな顔をする。
「咲ちゃんは緊張してないの?」
恵那子のその言葉に、武入君と瑠夏も私に振り向く。
確かにやけに落ち着いてんな、と武入君にも言われる。
夢心地で現実味がないから、という理由もなくはないけれど、多分それだけではない。
「ここまで来たら、あとはもう楽しむしかないかなって。開き直ってる訳ではなくて、本当に楽しみなんです」
私がそう言うと、三人は一瞬だけ驚いた顔をして、すぐに笑った。
「咲らしいね」
瑠夏のその言葉に、恵那子と武入君も頷く。
私らしさとは? と、首を傾げようかと思ったけれど、きっと深い意味はない。単純に、歌を歌うのが好き、ステージに立つことが好き、そう思えるのが私らしさとはいうことだろう。