その花が永遠に咲き続けますように
偉そうなことを言っている自覚はある。だけど、これだけは譲りたくない。


seedsのもう一人のギターは、たとえステージに立たなくても永君なんだ。



すると、恵那子と瑠夏と武入君も、


「私達からもお願いします!」

「確かにレイさんが入ってくれた方が盛り上がるだろうけど、それでも!」

「俺達だけでやらせてください!」


お願いします! と、四人でレイに頭を下げる。
どうか伝わってほしい、と強く願った。


……だけど。



「図に乗るな」



降ってきたのは、無情で冷たい言葉。

ゆっくりと頭を上げると、レイがとても冷たい目で私達を見ていた。そして。


「これは俺達rowdyのライブだ。お前らのライブじゃねぇ。勘違いして調子に乗るな」


そう言われ、私達四人は言葉に詰まる。レイの言っていることは、間違っている訳ではない。だからこそ、上手く言い返せない。


沈黙が流れた空気を破ったのは、永君だった。



「皆、俺のことは気にしないで」



それはいつも通りの、優しい声。



「レイさんの言っていることは正しいよ。今日この武道館へ集まっている人達は、ステージで演奏するrowdyを観に来てる。レイさんがステージに立ったら、皆が喜ぶ」

「だけど!」

「ありがとう、咲。皆。その気持ちだけで俺は凄く嬉しいよ。大丈夫。気持ちだけは、俺も皆と一緒にステージに立ってるから」


それだけ言うと、永君は洋さんに声を掛け、楽屋を出て行った。……もしかしたら、自分がこれ以上ここにいると話し合いの邪魔になると思ったのかもしれない。



結局、キリシマさんもレイの強引さに折れ、私達はモヤモヤした気持ちのままレイと一緒にステージに立つことになった。
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