その花が永遠に咲き続けますように
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『相澤 咲と言います。どうぞよろしくお願いします!』
二年前、私は父親の仕事の都合で、季節外れの転校生としてとある中学校に転入した。
前の中学校はとても好きだったし、友達もたくさんいたから離れるのは寂しかったけれど、それを嘆いていても仕方ない、この学校で新たに楽しい思い出をたくさん作っていこう、と心に決めていた。
そんな中、私に真っ先に声を掛けてくれた女の子がいた。
『私、向井 日奈(むかい ひな)! 咲ちゃん、よろしくね!』
日奈の第一印象は、とにかく可愛くて、明るい子だなという感じだった。
女の子らしい小柄な身体に、パッチリとした二重の瞳、ふわふわに巻いたセミロングの髪がとても似合っていて、華やかでクラスでの存在感が抜群だった。
実際に日奈はクラスの中心人物で、そんな彼女と仲良くなれたことは、私にとってとても嬉しいことだった。
事件が起きたのは、転校して三ヶ月が経った、十二月のことだった。
いつものように、休み時間に日奈と教室内でお喋りをしていた時だった。
『私、リコのこと嫌いなんだよね』
あまりにもサラッと言うから、思わず『え?』と聞き返してしまった。
リコというのは、同じクラスの女子である、本山 リコのことだった。リコは誰にでも優しいし、常ににこにこしている子。
毎日話す程に特別仲良しという訳ではないけれど、少なくとも仲は悪くないし、良い子だと思っていた。
リコが周囲に嫌われる要素は思い当たらないし、日奈もリコには好意的だと思っていたから衝撃だったけれど、それ以上に驚いたのは、日奈があまりにもさらっと『嫌い』と言い放ったことだった。
まるで毎日交わす挨拶のように、自然に放たれたのだ。
二年前、私は父親の仕事の都合で、季節外れの転校生としてとある中学校に転入した。
前の中学校はとても好きだったし、友達もたくさんいたから離れるのは寂しかったけれど、それを嘆いていても仕方ない、この学校で新たに楽しい思い出をたくさん作っていこう、と心に決めていた。
そんな中、私に真っ先に声を掛けてくれた女の子がいた。
『私、向井 日奈(むかい ひな)! 咲ちゃん、よろしくね!』
日奈の第一印象は、とにかく可愛くて、明るい子だなという感じだった。
女の子らしい小柄な身体に、パッチリとした二重の瞳、ふわふわに巻いたセミロングの髪がとても似合っていて、華やかでクラスでの存在感が抜群だった。
実際に日奈はクラスの中心人物で、そんな彼女と仲良くなれたことは、私にとってとても嬉しいことだった。
事件が起きたのは、転校して三ヶ月が経った、十二月のことだった。
いつものように、休み時間に日奈と教室内でお喋りをしていた時だった。
『私、リコのこと嫌いなんだよね』
あまりにもサラッと言うから、思わず『え?』と聞き返してしまった。
リコというのは、同じクラスの女子である、本山 リコのことだった。リコは誰にでも優しいし、常ににこにこしている子。
毎日話す程に特別仲良しという訳ではないけれど、少なくとも仲は悪くないし、良い子だと思っていた。
リコが周囲に嫌われる要素は思い当たらないし、日奈もリコには好意的だと思っていたから衝撃だったけれど、それ以上に驚いたのは、日奈があまりにもさらっと『嫌い』と言い放ったことだった。
まるで毎日交わす挨拶のように、自然に放たれたのだ。