その花が永遠に咲き続けますように
ゴミ箱の中には誰かの飲みかけのジュースや、食べかけのパンのゴミなども入っていて、リコの身体が一気に汚れる。


教室中も一瞬にして凍り付き、全員の視線が日奈とリコに集中した。



それなのに、まるで日奈だけがこの空気に気付いていないかのように、彼女はいつもの明るい笑顔と明るい声色でクラス中にこう告げた。



『皆ー! 今日から全員でリコのこといじめよーっ!』



驚いて、呼吸の仕方すら一瞬忘れてしまった。



他のクラスメイト達も私と似た反応をしたと思う。


だけど、誰も日奈に意見する人はいなかった。

日奈も、そんな人がいる訳ないと確信した上でこんなことをしているのだろうと思った。


日奈がこのクラスでの女王であるというのは、クラス全員が、そして日奈自身も理解している、悲しい事実であるのだとこの時に思い知った。


だけど……やっぱりこんなのは間違っている。


リコは、泣きながら教室を出て行った。
日奈は楽しそうにそれを見ていたけれど、私はそんな日奈を横切って、リコを追い掛けようとした。



けれど、日奈に腕を掴まれてそれは叶わなかった。


『ちょっと咲。まさかリコのこと追い掛けるつもり? 咲は私の味方でしょ?』


私の腕を掴む力は強く、ギリッと食い込む。そして日奈の瞳も声色も酷く冷たく、ぞくっと寒気が全身に走った。



だけど。



『やっぱりこんなことしちゃ、駄目だよ! それに、日奈らしくない! 日奈は、転校してきたばかりの私にすぐ話し掛けてくれて、仲良くしてくれた! そんな優しい日奈がいじめなんて、絶対に駄目だよ!』
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