その花が永遠に咲き続けますように
そう言って、私は日奈の手を振りほどき、リコを追い掛けた。日奈のことは後からちゃんと説得しないといけないけれど、今はリコを追い掛ける方が優先だと思った。



リコがどこに走って行ったのか皆目見当もつかなかったけれど、幸い、とりあえず階段を降りていくと彼女の後ろ姿を発見したので、ひたすら追い掛ける。


弱々しく走る彼女にはすぐに追いつき、その腕を捕まえることが出来た。


『やだっ! 離してっ!』

『リコ、ごめん! もう無視したりしないから! 日奈のことも私が説得する!』

私のその言葉に、リコは制止し、ゆっくりと私に振り向く。

その瞳にはやっぱり大粒の涙が浮かんでいて、無視をした罪悪感に心が押し潰されそうになる。


『一緒に教室に戻ろう?』

『やだ……日奈に何されるかわからないし』

『私が一緒にいる! 日奈が何かしてくるようだったら、私が守るから!』

私はリコの腕を掴む手に、ギュッと強く力を込めた。

日奈にいじめなんか絶対にさせないという決意の表れだったのかもしれない。


リコの瞳が再び揺れる。
大きな粒が頬を流れ、私に抱き付いてきた。

彼女の頭をゆっくりと何度も撫でる。


日奈と私は、三ヶ月前に仲良くなったばかりだけど、毎日一緒にいた友人だ。いや、親友だ。

日奈を改心させる自信は、正直あった。
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