その花が永遠に咲き続けますように
その後、私はリコと一緒に教室へ戻った。
もうすぐ授業が始まる時間。殆どの生徒が教室内で着席している……けれど、日奈だけが教室の入り口に立っていた。まるで私達を待つように。
そんな日奈のことが怖くないと言ったら嘘になるけれど、いじめをやめさせてリコを守るという決意は揺らがなかった。
だけど。
『残念だなー。咲は裏切らないと思ったのに』
日奈の口から飛び出したのはそんな言葉だった。
残念だという言葉とは裏腹に顔は笑っていたけれど、わかりやすく怒りに満ちた顔よりも怖いと感じ、思わず背筋が凍りそうだった。
そして。
『ていうかさー、咲、何か勘違いしてるよね?』
その表情のままで日奈が私にそう言う。
勘違い? 何のことだろう。
彼女の言うことが全く理解出来ていない私を見て、日奈はプッと吹き出す。
『あのね、転校してきたアンタに真っ先に声を掛けたのは、引き立て役にちょうどいいかなって思ったからだから』
『え……?』
『私より可愛い女となんか一緒にいたくないし、かと言ってブスとつるんでたらあからさま過ぎるし、あんたくらいがちょうどいいやって思ってただけ。
仲良くしてればいつか私の言うことに従ってくれると思ったしー……でも期待外れで残念』
日奈は信じ難い発言をし終えると、さっきリコに目掛けて真っ逆さまにしたゴミ箱を私の顔に投げつけてきた。
目の端からツ……と赤い血が流れ、足元にポタ、と落ちる。
でも日奈はそんなことお構いなしに、今度はリコの方を向いて話し始める。
『リコ、どうする?』
『え?』
『咲の味方になる? 私の味方になる? 私についてくれるなら、リコに意地悪するのはやめるー』
『えっ……本当?』
リコは嬉しそうな声色で、私から離れ、日奈の隣に立った。
目の前が真っ暗になったような感覚で、その直後のことはよく覚えていない。覚えているのは、今でも傷が残る目の横のケガがズキズキと痛かったのと、私はその瞬間から日奈のいじめのターゲットになったこと、日奈とリコがその日を境に親友になったこと、私を助けてくれるクラスメイトは誰もいなかったということ。
もうすぐ授業が始まる時間。殆どの生徒が教室内で着席している……けれど、日奈だけが教室の入り口に立っていた。まるで私達を待つように。
そんな日奈のことが怖くないと言ったら嘘になるけれど、いじめをやめさせてリコを守るという決意は揺らがなかった。
だけど。
『残念だなー。咲は裏切らないと思ったのに』
日奈の口から飛び出したのはそんな言葉だった。
残念だという言葉とは裏腹に顔は笑っていたけれど、わかりやすく怒りに満ちた顔よりも怖いと感じ、思わず背筋が凍りそうだった。
そして。
『ていうかさー、咲、何か勘違いしてるよね?』
その表情のままで日奈が私にそう言う。
勘違い? 何のことだろう。
彼女の言うことが全く理解出来ていない私を見て、日奈はプッと吹き出す。
『あのね、転校してきたアンタに真っ先に声を掛けたのは、引き立て役にちょうどいいかなって思ったからだから』
『え……?』
『私より可愛い女となんか一緒にいたくないし、かと言ってブスとつるんでたらあからさま過ぎるし、あんたくらいがちょうどいいやって思ってただけ。
仲良くしてればいつか私の言うことに従ってくれると思ったしー……でも期待外れで残念』
日奈は信じ難い発言をし終えると、さっきリコに目掛けて真っ逆さまにしたゴミ箱を私の顔に投げつけてきた。
目の端からツ……と赤い血が流れ、足元にポタ、と落ちる。
でも日奈はそんなことお構いなしに、今度はリコの方を向いて話し始める。
『リコ、どうする?』
『え?』
『咲の味方になる? 私の味方になる? 私についてくれるなら、リコに意地悪するのはやめるー』
『えっ……本当?』
リコは嬉しそうな声色で、私から離れ、日奈の隣に立った。
目の前が真っ暗になったような感覚で、その直後のことはよく覚えていない。覚えているのは、今でも傷が残る目の横のケガがズキズキと痛かったのと、私はその瞬間から日奈のいじめのターゲットになったこと、日奈とリコがその日を境に親友になったこと、私を助けてくれるクラスメイトは誰もいなかったということ。