その花が永遠に咲き続けますように
校門を抜けると、窓の外から見えていたものより更に大きな桜の木がある。

それを横切って、駅までの約十分間を歩いていく。


道はほぼ直進で、景色は田んぼだらけ。

田舎だから景色の変化に乏しいのは仕方がない。
家の辺りはもう少し栄えているのだけれど、家から学校までは電車で二時間以上離れているので、同じ県内でも見える景色は随分違う。


……どうせ景色が違うのなら、もっとキラキラした世界に見えればいいのに。色は同じだ。霞んで見える。



そんな景色の中、私以外に歩いている人の姿はない。
昨日までは、同じ学校のセーラー服を着た人や学ランを着た人が何人か必ずいたのに。
今日から部活見学が始まったからだろうか。
うちの高校はよほどの理由がない限りは部活に入部する決まりになっているらしいから、ほとんどの生徒が今頃、部活動に励んだり見学をしたりしているんだろう。



部活……か。

一瞬、頭をよぎったものがあったけれど、頭を小さく左右に振り、すぐに払拭した。


私には関係ない。
私は、人とかかわらずに生きていくんだから。



そんなことを考えながら、私は鞄からヘッドホンを取り出す。
中二の誕生日にお父さんに買ってもらった、人気メーカーのワインレッドカラーのヘッドホン。女性用に設計されているため軽量で、それでいて可愛すぎないクールでシンプルなデザイン。高音も低音もクリアに耳に届き、機能性も申し分ない。

それを携帯に繋ぎ、音楽を流す。
ランダム再生したら、私の好きなアメリカンロックバンドの曲が流れてきた。
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