その花が永遠に咲き続けますように


「衣装係って誰だっけー?」

「メインメニューのことなんだけど……」


文化祭のクラスでの出し物がお化け屋敷喫茶になってから、休み時間はこうやってその話題で持ちきりだ。

文化祭は七月十日から三日間。もう二ヶ月を切っているから、放課後は少しずつだけど準備が始まっている。

ていうか、そもそもお化け屋敷喫茶って準備が大変すぎる。教室内にお化け屋敷を作って、その一角を喫茶店にするのだから。

くじ引きで、私はお化け屋敷セットを作る美術係になった。無理に人と話をしなくても、一人で黙々と出来そうな係で良かったと思いながら、窓の外に目を向ける。


それなのに、


「幹本さんは、絵を描くのとか得意なの⁉︎ 私はねー、好きなんだけど苦手で〜」


……と、荻原さんがやたら話し掛けてくる。ここ連日、ずっとこんな感じだ。そしてその度に私は「……別に」としか答えないのに、どうしてこうも毎日、話し掛けることが出来るのだろうか。


すると今日は、そんな私達に口を挟んでくる人がいた。


白山さんだ。


「荻原さんさぁ、いい加減その子に絡むのやめたら?」


言いながらこちらへ歩いてきた白山さんは、私にチラッと冷たい視線を向けた後、荻原さんに微笑みかける。


「だって会話にならないからつまんないし、本人だって〝話し掛けんなオーラ〟出してんじゃん」


随分な言われようだけれど、彼女の言うことはもっともだ。荻原さんよりも白山さんの方が私のことよくわかっているような気がした。
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