その花が永遠に咲き続けますように
「そんなこと言わないで! せっかくの文化祭、クラス全員で楽しみたいじゃない」

「やる気のある人だけ楽しめばいいと思うよ。相澤さん、どうせ当日サボりそうだしー」

白山さんが、再び私のことをチラッと見やりながら言った。


私はそっと立ち上がる。

突然のことに、荻原さんと白山さんも少し驚いた顔をしていたけれど、


「……ごめん」


二人に対してそう謝ると、今度はぽかんとした顔を見せられた。


何で謝るの? と荻原さんが私に問い掛けてくる。
白山さんはただ黙って私のことを見つめている。


私は顔を俯かせながら、言葉を紡ぐ。


「……話し掛けてもらってもまともな会話が出来ないのは、私が悪いと思ってる」


何て答えていいのかわからないのか、二人とも何も言わず、黙り込んでいる。



「……けど、私は二人とも仲良く出来そうにないから。だから、もう話し掛けないで。文化祭の準備はちゃんとやるから」


それだけ言って、私は教室を出た。


……いつも一人でいる私に二人が声を掛けてくれたこと、本当は嫌じゃなかった。


だけど、親しくなるのは怖い。



これだけはっきり言えば、もう私に話し掛けてくることはないだろう。

そう思いながら一人歩いていると……



「……ちょっと待ちなよっ!」

白山さんの声に呼び止められて、足を止める。

ゆっくりと振り返ると、彼女は走って私の正面に立つ。
その顔は明らかに怒っている。てっきり、ふざけるなと言い返してくるのかと思ったのだけれど……


「謝るくらいなら、本音でぶつかってきなさいよ!」


と、予想していたものとは少し違うもので、戸惑う。
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