その花が永遠に咲き続けますように

「お、やっと来たな咲ー」

いつもの帰路で、永君と会った。
彼はいつも何ら変わらない様子で、例の石垣の場所で自転車に跨っている。
でも、おかしいな。放課後ば文化祭の準備をしていたからいつもより少し遅い時間なのに。それに、いつもの猫と戯れている様子もなくて、何だかわざわざ私を待っていたように見える。


「待ってたぜ」


どうやら気のせいじゃなくて、本当に待っていたようだ。いつもはバッタリ会うか、ここで猫と遊んでる彼に私が声を掛けるか、どちらかなのに。



「……何で待っててくれたの? ていうか、いつもより少し遅い時間なのに、ずっと待っててくれたの?」

「ん? だって最近咲と会ってなかったし、最後に会った時の帰り際、何か微妙な感じだったし」


それで……わざわざ待っててくれたの? 私が勝手に怒って帰っただけなのに?


「まあ、そんなに待ってねーけどな。俺も文化祭のクラスの出し物の準備でいつもより帰るのちょっと遅かったし」


彼は自転車から降りるといつものように石垣に腰掛ける。そして、私にも隣に座るように言うから、その通りにした。白山さんや荻原さんとは距離を詰められない私だけど、永君にはもうあまり気を遣わない。彼が男子のため、彼が日奈やリコと被りにくいからというのもあるかもしれないけれど。
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