その花が永遠に咲き続けますように
「文化祭の準備、どう? 楽しい?」

いつもと変わらない様子で私にそう問い掛ける永君。

だけど私はいつも通りに答えられなくて……言葉に詰まる。


「咲?」


学校で、白山さんに言われたことが頭から離れない。
本音でぶつかり合ってない、本音を隠して生きてて楽しいのか、って。


……あの時の白山さん、顔は確かに怒っていたのに、どこか悲しそうに見えたのは気のせい?


ううん、多分気のせいじゃない。私は彼女を傷付けている。彼女だけじゃない、いつも一生懸命に私に声を掛けてくれる荻原さんのことも間違いなく傷付けている。

それなのに私は、自分が傷付きなくないから二人と距離を置いている。


……日奈とリコにされたことを言い訳にして。


忘れたい過去のはずなのに、その過去を言い訳という盾にしていつまでも手放さないのは私自身だ。



「咲?」


永君が不思議そうに私の顔を覗き込む。


私が……


私が変われば、もう誰も傷付けないのだろうか?


最初は、自分が傷付きたくないという感情だけだったはずなのに、今は、他の誰かを傷付けたくないと思っている。


誰も傷付けていないつもりで、実は傷付けているということを思い知ったから。


傷付けられて辛かったから、他の人を傷付けたいとは思わない……。



本音をぶつけ合わないことが、本音を隠して生きることが、誰かを傷付ける。


私自身も、本当は変わりたいと思っている。



それなら、答えは一つしかないように思えた。



勝手だけど、永君とならそれが出来る気がした。



「ワガママ、聞いてくれないかな」


呟くように発した私の言葉に、永君は「何? 俺に出来ることならいいぜ?」と答えてくれる。



断られてもいい。口にすることで、少し変われるかもしれないから。



だから、言わせて。




「永君、




私と一緒に、音楽やらない?」
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