その花が永遠に咲き続けますように
「じゃあ、せっかくだし残り時間しっかり練習しようぜ。と言っても、まずは本番で何を歌うか決めないとか」

彼の提案に、私は「うん、そうだね」と返す。

大半のお客さんが私達のことを知らない。その中で、一人でも多くの方に足を止めてもらうなら、誰もが知っているようなメジャーな曲かな? 文化祭という皆が盛り上がっている場でのステージだし、バラードとかよりはアップテンポの方がいいかなぁ?

……と、色々考えてみるけれど。


「なあ。セットリストは家に帰ってからメッセアプリのやり取りでも決められるし、やっぱり今日は、歌いたい曲ひたすら歌わねぇ?」

永君にそう言われ、思わずぽかんと間抜けな表情をしてしまう。

それはそれで楽しいかもしれないけど……。


「でも、半端な練習はしないって洋さんと約束したばかりだし……」

「サボる訳じゃなくてひたすら歌うんだから、これも立派な練習だよ。それに、咲の歌い方をもっと知った方が、セットリストだって考えやすいし」

うーん、確かに一理はあるかもなぁ、でも……と悩んでいる隙に、永君はギターをかき鳴らしながら鼻歌を歌う。
最近CMとかで流行りの曲で、サビなら私もソラで歌える。
そう思ったら、身体がウズウズしてきてしまっ
て。
結局、永君が提案してくれた通り、色んな曲を思いつくままに歌い続けた。……とても楽しかった。
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