その花が永遠に咲き続けますように
私のことを心配してくれているなら有難いけれど、彼女のことは未だに少し苦手だ。嫌いではないし良い人だと思うけれど、距離の詰め方がわからない。


「あっ、そうそう! 今日ね、この後、皆でどこかでご飯食べてから帰ろうよって話してるんだけど、相澤さんも一緒に行こーよ!」

その場でぴょんぴょん飛び跳ねながら、荻原ささんはテンション高くそう誘ってくる。


「ごめん。この後は用事があるから」

そう断ると、彼女は「そっか」と答え、残念そうな顔はしていたけれど、それ以上しつこく誘ってくることはなかった。

だけど。


「相澤さんなんて、誘っても来る訳ないじゃん」

その声に振り向くと、そこにいたのは白山さんだった。


「ちょっと、何てこと言うのっ」

荻原さんが、私と白山さんの間に入るようにしてそう言う。


「だってそんな子、誘うだけ無駄じゃん」

「どうしてっ? 確かに断られちゃったけど、用事があるって言われたんだもん」

「そんなの嘘に決まってるじゃん」

「そんなことないよっ。それに、ちゃんとごめんって謝ってくれたしっ」


このままだと二人が喧嘩を始めてしまいそうな雰囲気だ。

そんなことは望まないし、それならばまさに今こそ自分の気持ちをきちんと口にしなければいけないと思った。


私は一歩前に出た。二人が私に振り返る。



「……用事があるのは本当なの」

ゆっくりとそう告げると、白山さんが「用事って、友達と会うとか、もしくはデートとか? あんたにそんな相手がいるとは思えないんだけど」と言ってくる。


「そういうんじゃないんだけど。


……歌の練習をしてる」


え? と、二人が少し驚いた顔をして私を見つめてくる。
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