その花が永遠に咲き続けますように
楽しんで歌おう、なんて意識しなくても楽しくて仕方がなかった。
洋さんが作ってくれた打ち込みの音もそうだけれど、何より、後ろから聞こえてくる永君のギターの音に合わせるのが嬉しくて、楽しくて。

洋さんから、自分の世界に入り込み過ぎるなというアドバイスをいただいていたから、お客さんのことを意識しながら心を込める。
英語の発音も、凄く下手くそだったから練習した。
少しでも多くの人に、私の歌で何かを感じてもらえたらそれは凄く素敵なことだなと思った。


楽しい時間はあっという間で、気が付いたら【for me】を歌い終えていた。


歌い終えた後の拍手の音が耳に届く。とてもたくさんの、大きな音に聞こえるのは、気のせい?


MCを入れる時間とトーク力はない為、拍手が止んだタイミングで次の曲へ入る。


一曲目がマイナーな分、二、三曲目は皆が知っているような曲にしよう、という話になった。


二曲目は、日本で知らない人はいない人気男性アイドルの代表曲。
最初は女性アイドルにしようとしたけれど、洋さんが私の声を、少し低くて力強さがあるから男性の曲にしたらとアドバイスしてくれたのだ。
確かに、高音の多い女性歌手の曲より歌いやすさもある。


ラスト三曲目は、今流行りの月九主題歌。
女性歌手の歌だけれど、歌い方が似ているのか無理せず歌うことが出来る。
流行りの曲なだけあって、聴いてくれているお客さん達も一緒に口ずさんでくれる様子が伺えた。


やっぱり、歌を歌うのって楽しい!
でも、それ以上に。
人前で歌うことは、恥ずかしさもあるし自信はないしでずっと避けていたけれど、お客さんの顔を、様子を見ながら歌うーーそして、お客さんとの一体感を感じながら歌うことが、こんなにもこんなにも高揚することだったなんて!
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