その花が永遠に咲き続けますように

ラストの曲を歌い終えると、お客さんからの拍手の中、実行委員の人達がステージに上がってくる。

そう言えば、私達がバンドをやるグループの最後の組だから、実行委員の締めくくりの進行に軽く絡んでねって言われたっけ。

ステージで歌ってみてどうでしたか、なんて言われたけれど、答える気力もないくらいに疲れ切っていて、私は無言で背を向けてステージを降りた。実行委員の話には、永君が上手く答えてくれるだろう。


そう思ったのに、ステージ裏で一息ついていると、永君まで降りてきてしまった。


「永君、実行委員の質問にちゃんと答えないと」

「いや、それ咲に言われたくない」

間髪入れずにそうツッコミを入れた後、彼は空を見上げ、「楽しかった!」と言って笑った。


私も、楽しかった。凄く。



「今日のことは一生忘れないだろうな、俺」

そう話す彼に、ちょっと大袈裟だなあと心の中で思うも、だけど私も同じ感情かもしれないと思った。


私も忘れない。今日、初めてステージで歌ったこの感動を。そして、永君と一緒に音楽を奏でた、幸せを。
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