その花が永遠に咲き続けますように
日中、荻原さんとメッセージアプリのIDを交換した。高校に入ってから誰かとIDの交換をするのは、永君以来の二回目だった。
荻原さんは今日は家の用事があるとのことで、ホームルームが終わるとすぐに帰っていった。
私も、これといって用事はないけれど今日は早く帰ろう。それに、この時間に学校を出ればもしかしたらいつもの場所で永君に会えるかもしれない。
そしたら言おう。キーボードをやってくれる人が見つかったよ、って。メッセージを送ってもいいけれど、大事なことだから直接言いたい。
そんなことを思いながら、自分の席で帰り支度をしていた時だった。
「あーい澤さんっ!」
背後から、聞き慣れない声に突然名前を呼ばれ、思わず肩を震わせて驚いてしまう。振り向くと、
「ごめんごめん。でもそんなに驚かなくても」
そう言って明るく笑う男の子の姿があった。
「ねえ待って相澤さん。〝こいつ誰だっけ〟みたいな目を向けてくるのやめてくれる? 俺、クラスメイトよ?」
「……ごめん。人の名前覚えるの苦手で」
「マジかよーっ! そりゃあ話すのは今日が初めてだけども! 武入 大輝だよ! よろしくな!」
……何だか明るい人だ。一人でテンション下がったり上がったりしている。
髪は明る目の茶髪で、顔もいいからモテそうだけどちょっと軽そうなイメージ。それが彼への第一印象。