その花が永遠に咲き続けますように
「ところで、私に何か用事だった?」

わざわざ名指しで話し掛けてくるくらいだし、そうなのだろう。
私が聞くと、武入君は「そうだった」と言いながら、右手の人差し指をピンと立て、


「文化祭のステージ観てたよ! そんでさ、もし良かったら一緒にバンドやらねぇ? 組んでくれる人探してたんだよね。俺、ドラムなんだけど」


……凄い。今日は何て日なのだろう。バンドをやろうと言ってくれる人が立て続けに二人も現れるなんて。


「……うん。ちょうどメンバー探してたから良かった」

「マジ⁉︎ 良かったー! ちなみにギター弾いてたのって誰だっけ⁉︎ 挨拶しないとな!」

「あ……。あの彼は吉宮君って言うんだけど、訳あってもう一緒にはバンドはやらないんだ。その代わり、荻原さんがキーボードやってくれるって」

「荻原って、うちのクラスの荻原? へー、キーボードか! じゃあ荻原も誘って、また後日今後の練習についての打ち合わせとかしようぜ! あ、これ俺のIDだからあとで登録しといて」

わかった、と言って彼からメモを受け取る。
彼はその後日すぐに教室を出て行った。運動着を持っていたから部活動かもしれない。


武入君かぁ。軽そうな感じはするけれど案外話しやすいかもしれない。私が口数の少ないタイプだから、荻原さんと武入君みたいなよく喋るタイプの人達が入ってきたというのもバランスが取れて良い感じがする。
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